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短歌のリズムで

言の葉が群れをなすかな鰯雲 暮れゆく空で歌になるらむ

ファーストインプレッション

ぽんぽんと(いいね)の押される短歌サイトや歌会サイトとは異なり、これはという気に入った一首を読解する場合は、集中しても1時間くらいはかかります。(それが私の能力なので不足していることは自覚しております)

作歌時間の長さというものではなく、奥深い思慮の元で作られた歌は、それなりの読解力を必要としています。何度も何度も推敲された歌、一つの助詞で悩まれた痕跡のある歌、文字数とリズムや区切れの間で揺れている歌など、その背景は自身の体験や経験が及ばないことの方が多いはずです。だからこそ、頭を働かせて考えを巡らせなければなりません。

一目惚れした異性がいたとして、もしも会話や手紙のやりとりが許されていないとするならば、どんな方法で相手のことを知りたいと思うでしょうか?
私ならば一挙手一投足を目で追うでしょうし、耳をそばだてて会話の端々を啄むことでしょう。身につけているもの、口に運んでいるものなど、事細かく観察すると思います。
それらの情報は、論理立てて整然と並んでいるものではなく、あくまで断片的なものですから、一旦は自分の頭の中で再構成して、想い人の仮の人格を形成しなければなりません。

人間はどうしても視覚に重きを置いてしまい、第一印象に引きずられる傾向があります。
短歌に於いてもこれは同じ事が言えると思います。読み込む時間の短さはそのまま、分析や検討や判断の短さ、浅はかさに繋がります。そのために、それを見越した第一印象だけが良い歌が氾濫しているのだと思いますし、鑑賞そのものをそこで終えてしまう読者だけが増えている感じがします。これでは短歌の奥深い魅力が味わえるはずもありません。

冴えている時、発想に瞬発力のあるときは、ものの3分で歌は出来上がります。しかしそこからが本当に大切な時間なのです。もう一度作歌のシナリオを追いかけて、様々なシーンを再構成して、言葉によって気持ちを組み立てていかなければなりません。
触れなかったもの、使わなかった言葉、歩かなかった道に想いを巡らせ、深く心の中の景色を覗き込まなければなりません。ただ放置して時間が過ぎたからといって、ワインやチーズのように歌は熟成などしないものです。
どちらかと言えば熟成させなければならないのは、自分の作歌の心の方です。
ぬか床をかき混ぜるように、時間を掛けて歌の環境を醸成する気持ちを持って、作歌と鑑賞に時間と手間をかけてゆきたいと思っています。
ぱっと見だけとか、言葉だけの異性にだまされないように。

五限目の窓の光よ永遠に君の横顔とじ込めてくれ

本当に美しいものは多くを語らずに、敢えて光のあたらない場所にいる。

2019年11月16日
短歌 ミルク
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プロフィール

HN:
ミルク
性別:
非公開
趣味:
頭の体操
自己紹介:
気づく人だけが手に入れられる
輝きを求めて、日々の宝探しを
楽しむように短歌のリズムで進む
足あとのようなものです。

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