EX002 うたよみん　最近の投稿歌

・閃きの炎を燃やす湿りつつ役目を果たすマッチ棒クイズ

・しっとりと焼けます！とありドタキャンをされた私に欲しいオプション

・冬になり優劣のあることを知る電線も賑わいたわみ鳥がひしめく

・張られたり消え入りそうな明星を掬うゆりかご繊になぞらえ

・始まりと終わりは平ら止められたエスカレーターに生き様を見る

・カラカラと弄ぶ音残された一つと一人響く空き缶

・雰囲気はとても似ていてそれはもう雰囲気だけは似ていてはダメ

・ドヤ顔で新車の奴の脱輪を救った僕のリターンエース

・両端にアールたたえた一文字そこはエースの駆け抜ける場所

・トキメキは意識前線気になると気にならないを行ったり来たり

・一つだけ君が解き忘れた魔法トイレ掃除は今も楽しい

・秋からの時は止まっているようでスノードームの雪は水底

・つっかけを違えて履けばこんなにも大きな足に守られた日々

・温もりは粒の予報か蟻たちは日傘替わりの病葉で待つ

・父らしいまだら模様でチャーハンと言えぬ一皿しかも山盛り

・往来に迷い子のあり警官は鋭い目の子を解いて膝つく

・恥ずかしい歌は匿名でもイヤだ歌は人なり　言い聞かせている

・コンセント嫌い緩んだプラグ持ち挿し直す吾は親という性

・取りこぼすことがマナーは通じないチャーハンもすべて掬って食べる

・白樺の味は知らない味がないその身で支え引き立つアイス

・ departureハンブルクへと嫁ぐ娘にカルチャー半分ずつを託せば

・志（こころざし）さえも重力には勝てず掲げねばなお低い方へと

・終活で荷物を下ろすかの国まで持って行けるのは名前だけ

・大人にはなぜ輪郭が付きまとうクレヨンの絵にそれはないのに

・断続の貨車の音でも紛れたり独り一つの灯りの下で

・アヲハルと言うらし今は吾を張ると読むのは不粋まだ実は堅い

・誰しもが乗れる列車はいつの間に閑散として鉄郎ひとり

・けんけんで跳ばした靴を追いかける君が見えたよ目を閉じたなら

・退く日カードラックは無記名となりて明日来る部品を待てり

・善悪の線引きもなく合わされば許されたのか背には夕焼け

・無いのだろう辿り着いても答えなど虹をしばらく追いかけている

・なだらかさ悲鳴とも言う角を取る物はひとしく荒々しくて

・贅沢がトポンと沈む解（ほぐ）されて絶景色に溶けてゆけたら

2020年02月03日
短歌　ミルク