僅かな時の流れを感じることができるのも生きていればこそ、一度の呼吸、一度の鼓動が命をつないで時の流れの中にあることを、波は教えてくれています。育まれるもの、潰えてしまったもの、そのどちらもが砂粒に形をかえて運ばれてくるようです。まるで少しでも人目に触れたいと選んで浜に集められたかのように、ゆっくり少しずつ運ばれて、そしてまた海に帰ってゆきます。夏は思うほど長くはなく、人が海に来るのは少しの間だけです。そんな短い時間を惜しんで、八月の波は静かに打ち寄せています。
波打てば止むことの無き八月の刹那は寄せて砂となり積む
八月の波は誰かの声に聞こえる、それは気のせいではないようだ。
2019年8月3日
短歌 ミルク