時々ケーキ本体から思いがけずどっさりと生クリームが持って行かれて、薄いフィルムの申し訳なさそうに曲がる姿を思い知ることがあります。不思議な魅力を持つ人に似て、いつの間にか心の大部分をごっそりと抜き取られてしまったように、存在の甘さと喪失感を感じてしまう人たらしな存在です。そんな人は八方美人で大丈夫かなと周りが心配するのをよそに、次々と陥落してゆく相手の多さに、底知れぬ魅力と人間力を感じずにはいられません。本命のスポンジは、フルーツやチョコやクッキーに生クリームが心変わりしてしまうのではないかと心ここにあらずでスカスカです。なんだかお似合いなように見えたりするものですから・・・。
触れ合えば纏わり付けとクリームの諭しを舐める苺ショートの
誰かのためのやさしさが、本命からは5割増しに見えたりもする。
2019年8月2日
短歌 ミルク