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短歌のリズムで

言の葉が群れをなすかな鰯雲 暮れゆく空で歌になるらむ

言葉が自分に還るなら

私が頂いた悟りの中の一つに、「自らが発したものはすべて地球を一周して自分に還る。」というものがあります。大きくても小さくても、力というものは大抵円軌道を描いて元在る場所に帰ってくるような気がします。良いことも悪いことも、その一瞬に跳ね返ってくるものはただの反響であって、実際には随分長い時間を掛けて自分に巡ってきているのでしょう。それが力と呼べるのかどうか解りませんが、言葉も同じように自分に還ってきているような、そんな経験は一度や二度ではありません。

・良いことをして良いことが還ってくる (そうあって欲しいものです)
・悪いことをして悪いことが還ってくる  (たぶんそうなるのは当たり前でしょう)
・良いことをして悪いことが還ってくる  (これもあるかもしれません)
・悪いことをして良いことが還ってくる  (これだけはないと断言できます)

こうやって考えてみると、単純に計算しても良いことが還ってくる確率は希望的観測で1/4しかありません。希望的ですから実際にはもっと少ないのでしょう。
だからといって悪いことばかりしていると、良いことが還ってくる確率は限りなくゼロに近づきます。やはり信じて善行を重ねるしかないのかもしれません。

先の例は少し極端なものですが実際の日常を考えると、

・何もしていないから何も還ってこない (論理的に正しいかもしれません)
・何もしていないのに良いことが起こる  (幸運であるかもしれません)
・何もしていないのに悪いことが起こる (大抵の心配ごとの種なのでしょう)

ということの方が大半を占めているような気がします。
こちらは大ざっぱに扱うと約1/3の確率で良いことが起きるようですから、先の進んで良いことや悪いことをするよりも幾分お得なような気がします。

もしも全てを損得だけで判断して生きていると仮定した場合、良いことが起きる確率は「何もしない」が「良いことをする」を上回ってしまいますから、損を出来るだけ少なくしたければ「何もしない」が最も有望な答えとなってしまいます。

このことは現代社会を象徴していないでしょうか。自分だけが得すれば良いので、何もしないで生きていくなんて、余りにも子供じみた幼稚で短絡的な価値観だと思います。
ベースにこの損得問題がある以上、良いことをする人、何もしない人、悪いことをする人の比率が変わることはないと思われます。

自分の「得」を握りしめて離さない。「損」を掴むことのないように必死です。
しかし、手の中の「得」は本当に「得」なのでしょうか、「得」を手放して「損」を掴んでしまったら、本当にそれは「損」なのでしょうか。

これらのことにはとても大切なことが隠されていますが、哀しいかな見ることができません。言動の因果関係が招くすべてのことを知ることはできないので、本当に得したことも、本当に損したことも数えられないのです。目の前の事、今すぐ起きることや今起きたことにばかり心をとられていると、多くのことを見失います。起こした波はどんなに遠くへでも影響します。それは良いことも悪いことも同じです。何も波を起こさない人ばかりでは、世界は悪いことの波で埋め尽くされてしまうかもしれません。その性質から良い波は悪い波を打ち消せることを学ばなければなりません。これは決してオカルトチックな波動の話をしているのではありません。

言葉が心を動かして行動を生みます。行動はまた誰かの心を動かして行動を生みます。
影響は際限なく続きます。幸せなことも不幸なことも同じように際限なく続く中で、世界がなんとか維持されているのは、きっと不幸の連鎖を誰かが勇気を持って断ち切って、幸せの波を起こして打ち消してきた努力の賜だと思います。

ことなかれ主義に未来などありません。
自然が気付かぬうちに破壊されて傷ついていることを見逃せないように、言葉や短歌が壊されて傷ついていることも見逃せません。

イヤミだと思われるくらいで丁度よいかもしれません。小さな波を起こせるのならば、澱まずに言葉と歌の探求を続けてゆきたいと思っています。

波風が起きて課題は磨かれる打ち消す方かのまれる方か

すぐ跳ね返る波はまぼろし、実体は忘れた頃にふと現れる。

2020年6月19日
短歌 ミルク
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コメント

プロフィール

HN:
ミルク
性別:
非公開
趣味:
頭の体操
自己紹介:
気づく人だけが手に入れられる
輝きを求めて、日々の宝探しを
楽しむように短歌のリズムで進む
足あとのようなものです。

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