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短歌のリズムで

言の葉が群れをなすかな鰯雲 暮れゆく空で歌になるらむ

続・言葉に力があったなら (おまけのおまけ)

見たものや聞いたこと、触れたものなどから影響を受けることがあるように、読んだ書物から心の奥に届くような言葉や感慨があります。心地良いことも憤懣やるかたないことも、心が動いたことの証であり、意識が何らかの力で方向転換したことの結果だと思います。

歌を詠むということが一部の人にしか開放されていなかった時代は、ただ木訥と自然や恋愛のあれこれを詠んでいればよかったと思いますが、今は短歌として一般庶民に開放されてしまったので、現代ならではの歌題について詠むことが、何らかの化学変化を読む人の心に起こしてくれるのではないかと感じています。
私も多分に漏れず、標語みたいだとか説教じみているとご批判を頂きますが、私は現代の短歌にはそのような側面もとても重要だと認識しています。古のルールに縛られて、旧かな使いからでさえなかなか脱却できなかった短歌は、歴史の長さとは裏腹に言葉を使う文芸の中では、最も影響力の低いカテゴリーになってしまいました。もし俵万智さんという歌人が出ていなかったら、もっと悲惨なことになっていたと思います。相田みつおさんや金子みすゞさんが取り上げられた昭和からインターネットの平成になり、ツイッターのような短文投稿が簡単にできるツールによって、多くの人が言葉の発信者となりました。もう、いつまでも傷病辛苦やのんきな自然を詠んでいることに、見向きもしなくなってきたのです。あからさまな忖度のつきまとう結社と短歌界の硬い思考に辟易とし、若者は鋭さだけを求めて彷徨い、まるで渇いた心を潤す井戸を求めるかのように歌にもならない言葉を呟いています。

短歌とは気づきをもたらす小さなささくれだと思っています。

マスコミや大衆が気付かない社会の断面も、優れた歌人の言葉は絶妙に断面を見せてくれます。自分の知らなかった断面を見せられることはほんとうにチクチクと心に痛みを及ぼし、新たな気づきや発見を生む火種となります。そのためには優れた歌人とその歌に出会う必要があります。短歌サイトはそのためにあるといっても過言ではないし、参加の意義もそこにあると思っています。どんなに自分がいい出来だと思っている歌が作れたとしても、第三者に気づきがもたらされなければ、自己満足に過ぎませんし、言葉の探求にもなりません。ささくれが成長の証であるように、気づきは心の進化をもたらさねばなりません。沢山の人と交流することも沢山の歌を詠むことも、気づきに繋がるのであればよいと思いますが、普通の人の普通の「現状報告」になってしまっては、捨てられるチラシと大差ありません。

歌の心は詠むことではなく読むことで磨かれます。作りたい、詠みたいという衝動に安易に動かされず、何度も何度も読み返してささくれに気づくことこそが短歌の醍醐味であることを知り、より社会性のある歌題を扱うことの重要性が増した気がしています。問題提起も提案も説教も、シュプレヒコールさえも、三十一文字の中に込めることができます。多様な種類の言葉を扱える日本に暮らしているからこそ、多様な価値観や自由な発信の許された日本で作っているからこそ、まさに短歌による「静かな革命」が期待されているのだと思っています。

無学な私も読書によって文章力と表現力を養うことが出来ました。
多くの方が優れた歌人や短歌に出会い、小さな火種を胸の中に灯されることを期待して止みません。

ささくれのようでありたい日常に痛みもたらす気づきの短歌

ささくれは最も身近な軋轢の表面化です。その根本を考えることこそが真の成長だと思います。

2019年9月28日
短歌 ミルク
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コメント

プロフィール

HN:
ミルク
性別:
非公開
趣味:
頭の体操
自己紹介:
気づく人だけが手に入れられる
輝きを求めて、日々の宝探しを
楽しむように短歌のリズムで進む
足あとのようなものです。

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