沖に波消しのテトラブロックもなかった頃は、結構遠くまで行けたりました。灼ける砂と貝殻の混じる波打ち際を行ったり来たりして、ひとときもじっとしていなかった記憶が残っています。レジャーシートやパラソル、浮き輪やボートなど、鈍色が隠れる程にあたりを埋め尽くしていたものです。名残惜しそうにつきまとう砂をはらったとき、現実に還ったんだと淋しさを味わうことも、今は少なくなったような気がします。
夏の字のすり足が跳ね足になる砂浜でビニールは咲く極彩色で
砂浜は次第に減ってもう足は砂の感触を忘れつつある。
2019年7月29日
短歌 ミルク