2回目もたまたまサイトの歌題で見つけた(ビニール)で考えたいと思います。
無機質な素材です。ビニールハウス、ビニールバッグ、ビニール傘、ビニール素材など、素材としてのイメージ、特に透明な印象の強い言葉です。
他にどんなものがあるでしょうか、ビニールテープ、ビニール袋(レジ袋)、ビニールクロス、ビニール貼り(椅子)など、手に触れる素材としても馴染みがあります。
テーブルクロスなどは、最初ピンと張っていますが、次第に机の角に馴染んできます。新入社員の時に社食で見かけた光景が甦り、また、最初ピンと張っている様子は、まるで新人の自分達に重なっても見えます。
少し歌に繋がってきそうな話です。
組織に馴染んで次第にしなやかに添う姿と、それでも腹に一物を含んでいるという現実を
現したいと思いますが、中々ビニールという言葉と馴染むフレーズが浮かんで来ません。
会社組織の中で育まれたものの中で、添えない何かとせめぎ合って悶々としていた時も、実はビニールのクロスはテーブルの上で淡々と自分の役割を果たしていたことに、今になって気付いた自分の気持ちを素直に表現したいと思いました。
骨組みとなりそうなものを書きだしてみます。
・新しいビニールのテーブルクロス=新入社員の自分
・組織に馴染む=しなやかになる(妥協もしている)
・馴染めない所も当然ある=裏返る(皺になる)(破れる)
・それでも仕事は続けている=一つの歯車として役割を果たす
・綻びに貼られるテープビニールのクロスは角に馴染めないまま
自分のことは横に置いて、第三者的に歯車となって働いている姿をクロスに投影して、それでも納得していないという体で作ってみました。
まぁ、これはこれで良いような気もしますが、(貼られるテープビニールの)この2句3句の繋がりが気になります。テープビニールと繋がることがカタカナの連続もあってすっきりしません。また、馴染めないままなのはわかるのですが、何かそのまま使い捨てられるような雰囲気も出ていて、言えないままの消化不良感も出てしまっています。新入社員と新品のクロスという関連も詠えていません。
もう少し素直に考えてみましょう。
腹に含む一物を(違和感)空気を含んで膨れたことになぞらえ、(はらむ)はどうかと思いました。この言葉の対比として(角に添う)を使いたいと思います。
ビニールのテーブルクロス、歌題でもあるこの扱いに悩みましたが、もう(社食のクロス)と言ってしまおうと思います。綻びもテープもビニールも野暮だなと・・・。
(違和感)(はらむ)(角に添う)(社食のクロス)あと足りないのはクロスと私の関係性ですが、入社して新しい時期から一緒に頑張ってきた仲間、もはや(同期)と言ってもいい存在のような気がして、(私と同期)を結句にしようと思います。
それから、対比する二つの要素を繋がなければならないので、一般的ですが、(尚も)を使います。言葉の流れもスムーズになって、関係性も明確になりましたが、歌題のビニールからは少し遠のいたかもしれません。
そんなこんなを並べて、やっと出来上がりました。今回も約2時間ほどかかりました。
●違和感をはらんで尚も角に添う社食のクロスは私と同期
新しいと珍しがられることも無くなった。守ってきたものは朽ちていないだろうか。
2019年11月27日
短歌 ミルク