引き出しの奥から不意に出てきた片想いの遺物は
胸の碇を上げるように、酸いも甘いも吐き出させるもの
1・波音にはじき出された片恋は捨てられたもの捨てにきたもの
2・揺れ動く心の地図も不確かなあなたの森に迷い込みたい
3・ひとかけら口に含めた恋ならば流れるように染みこませたい
4・明日へと渡れぬ恋の拍動も点滅になる午後十一時
5・あなたとの見えない糸がたるんでも切るのが怖い引けないでいる
6・共に鳴り伝わることもない恋の痛みは胸の音叉のひびき
7・靴底に未練を残す夏の日の切ない恋をはらいサヨナラ
8・拭ってもみるみる曇るさよならと笑顔の君がまだこびりつく
9・温度差が視界不良を生むんだね曇る硝子にサヨナラと書く
10・うつむいた遠い視線が答えだねもう交わらぬ二つの線路
11・おはようが交わされぬ朝 告白の顛末たたみしまい込む席
12・サヨナラをを切り出す決意思い出す告白の日の胸のざわめき
13・奪われた心をそっと取り返すぶつかり割れてしまわぬうちに
14・乱暴な「ムリ」が良かったさよならは優しい字なんて救われないよ
15・その恋は回り道だと言うのかな人工知能に聞く花言葉
短歌 ミルク