花嫁は紫陽花のブーケを手に教会の中へと歩きはじめました。「心変わり」などという縁起でも無い花言葉も気に掛けず、彼女は嫁いだ先に染まりたいとの願いを込めて紫陽花を選んだと聞いて、賢く謙虚で、芯の強い女性だとあらためて感じました。派手に色づく装飾花の内側でひっそりと咲く本来の花弁や、食すれば中毒を引き起こす葉に自らをなぞらえてしっかりと根を張り始めた君は、いつまでも雨の六月を美しい景色に変えてくれることでしょう。
曇天に負けじと集うペンライトもう六月は紫陽花のもの
本当は雨は嫌いで、その色は青空と夕焼けを間近に置いておくためだと信じたい。
2019年6月30日
短歌 ミルク