それは言葉が突きつけられた、大きな命題のような気がします。三十一文字にすることで、歌は祈りのような力を持つことができるのでしょうか。誰かの心に響く確かな音となることができるのでしょうか。言葉をどれほど磨き研ぎ澄ましたならたどり着けるのか、長く遠くゴールの無いチャレンジです。
1・「待つ」という時の肥やしがあるならば咲きて潤せ心の華よ
2・声援は木霊のように響き合い勝者敗者もかき混ぜてゆく
3・立ち止まることも強さだ全力を出すときは皆息止めるもの
4・勝敗のラインの見えぬ毎日に放さずいよう綱を引くため
5・スペアなど無い情熱をすり減らすことが磨いた君の勇敢
6・押し返す力と共に生きている押した力もいつかは戻る
7・一段が重く三段が軽い日もあり階段はわたしを映す
8・一輪を丁寧に抱く私にもアントワネットにも薔薇は薔薇
9・出る杭を弾いて響くオルゴール未来を鳴らせゼンマイを巻け
10・継続は力ではなく生きることマグロは泳ぎながら夢見る
11・ぶつかって割れた望みもクルクルと痛みよ回れカレイドスコープ
12・ぺらぺらの薄さでもいい触れたなら指を切るほど真っ直ぐであれ
13・それっぽい そんな言葉じゃもどかしい それをめがけてそれになりたい
14・代償のない愛なんてないはずで星はその身を燃やし輝く
15・嬉しくて哀しくて泣く悔しくて腹立てて泣く海に来たなら
2019年6月30日
短歌 ミルク