存在とはいつしかその空間に気配を住まわせるもので、どんな小さなものでもその場所から無くなれば、たちまち喪失感に襲われてしまう経験は、きっとどなたにもあることでしょう。扉を開け閉めする音も、カーテンを引く音も、靴を蹴る音も、もう言葉となって聞こえてしまう。心は決まって無くしてしまった周波数に、チューニングを合わせるものです。寂しいと呟かなくても。
独り居は些細な音も父母の空耳に似て寂しみの増す
当たり前の支えを無くしたら、自分の影さえも支えにしなければならないだろう。
2019年6月21日
短歌 ミルク