薄暗い田畑にも、軽トラックの灯りが近づいている朝があります。雨や霜や風や気温を常に肌で感じて、手を入れなければ実りに届かないとてもシビアな農業の一端を垣間見た瞬間でした。手間を省けば必ずや結果に影響を及ぼすという悟りのような精神世界が、大地とその大地で業を為す人との間に存在しています。大地と水と光りの恵みというたとえは、アンカーだけが偉いのではないという戒めにも聞こえる夜明け前です。
土を掻き水を掬って風を見て月だけが知る輪廻のバトン
自然という前走者はストイックだ、テイクオーバーゾーンの線引きはない。
2019年6月28日
短歌 ミルク