営業では死んでも「買って下さい」と言わないのが自分のやり方です。だからほとんど商談なんてしませんでした。商談があったとしても、泥臭く粘るなんてことも嫌いでしたので、こちらから率先して撤退なんてこともしばしばで、来るものは拒まず、去るものは追わず、義理と情けのないものは斬るという在り様です。当然のように成績も悪く、お荷物になりたくなくて脱サラしましたが、会社務めの30年間は修行と考えれば腹も立つことはありませんでした。そんなドロップアウトした私にはとても真似できませんが、時折客先でこの歌のような光景に出会います。どっちに転ぶか解らない膠着状態が更にひや汗を滲ませて、サラリーマンは日々戦っているのですね。
汗滲むハンカチ隠す商談の綱は真中で微動だにせず
サラリーマンは修行僧なのかもしれません。どこまでもゴールは見えなくて。
2019年7月15日
短歌 ミルク