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短歌のリズムで

言の葉が群れをなすかな鰯雲 暮れゆく空で歌になるらむ

繋がりに甘んじて

一人では生きてはゆけないと、何かの経典のように唱えられる現代において一人きりで死んでゆく人は後を絶ちません。あまりにも楽観的な人生設計図を掲げた国だからこそ、レールに乗ることを拒んだ人達を支える仕組みは育たなかったのでしょう。死んでから危険度を上げたり、死んだから安全装備を充実させたりと、何時まで経っても学べないのは純粋に個々人の想像力が不足しているからに他なりません。

大多数の掲げたものに準ぜよという馬鹿げた常識に、骨の髄まで犯されてしまった人々はもう尖った先端を目指さないようにしつけられてしまったかのようです。それが遺伝子に刻まれた設計図と言うのならば、それはそれで仕方のないことかもしれませんが、蟻のように二割ほどの働かない蟻達も含めて面倒を見ながらコロニーを形成するという生存戦略の方がよほど理知的に思えるのは何故なのでしょうか。

繋がりは時として損得の条件とされ、繋がっていなければ損をするから繋がっておくという安易な妥協が蔓延しているような状態は、一家言のあるような格好良いサイレントマジョリティーなどでは決して無く、飼い慣らされて蹂躙されている家畜とあまり差が無いような気がしています。つまらない妥協を強いられる毎日だから、匿名を良いことにネットにゴミのような呟きを流し続けることが許されているとでも言いたげです。

従ってばかりの選択でも生きてはゆけないし、背いてばかりの選択でも生きてはゆけません。自分の都合で下ろした錨、産まれたときから繋がれていた錨、妥協の産物として下ろした錨、様々な錨に固定されている自分という船が新しい世界を見たいと考えた時、向きを変えたり場所を変えたりするには、どうしても錨を上げて繋がりとは他の場所へ移動しなければなりません。何もかも錨で固定されていれば、自分で考えることなどしなくても生きてゆけるでしょう。しかし新しい視点や世界は見えないまま、その世界で生き続けなければなりません。不条理と感じても一つの歯車として回り続けなければならないのです。

自分が他者や社会に及ぼす影響を考えてみると、自分が他者や社会から及ぼされる影響の方が圧倒的に強いことが解ります。にも関わらず、余計な繋がりがあまりに多くはないかと疑問を持つことは当然のことかもしれません。人は終活など人生の終末期にさしかからなければなかなか関係を見直そうとは考えないものです。
少しだけ時間を掛けて考えてみれば、多くの事はたいして影響のない妥協の産物であると言えるでしょう。少しだけドライに、少しだけスマートに考えてみれば、損得の価値を超えて維持するべき関係や繋がりが如何に少ないかが解るはずです。流されやすいことは、引き留められやすいとも言えます。一般的とか常識的とかそのような曖昧な基準の中で漂うのか、真にその値打ちを確かめるために舵をきるのか、生き方が問われているのです。

人は自らが望んだ風景を現実として引き寄せてしまう生き物です。

コミュニケーションにおいてスマートフォンを最優先にして生きている限り、対人関係はどんどん希薄に移行してゆきます。多くの人が日常でそれを望んでいるからです。無意識のうちに利便や損得の罠に囚われていることに気付いていません。道具が人を蹂躙し、道具が人を使用人のように使っているあべこべな世界です。人が道具に落ちぶれてAIに酷使されるのか、不便であってもあくまで人が道具を使いこなすのか、それはいつでも自分自身が決められることです。

短歌においても言葉やルールに使われるのか、言葉やルールを使いこなすのか、それは大きな違いとなります。自分の頭で考えるのか、手垢のついた使い古された言葉を変換候補に従ってただ並べるのか、それは出来上がるものに大きな差をつけることでしょう。

ここ数年でも短歌は劣化の一途を辿り続けています。プロも一般素人も関係ありません。
美術品のように多面的な鑑定眼をもった鑑定人や、学術的な評論をする人もいません。
ただただ雰囲気とヒエラルキーに支配された仲良しサークルの中だけで語られる世界。
もう人工延命装置がなければ、長らえられないほど朽ちてしまったのでしょう。
それをいつまで文化と呼ぶのか、それを決めるのはおそらく人ではなくコンピュータになるのです。
今まさに作られて投稿されている短歌が、短歌自身の未来を予言していることを頭の片隅に置いておきたいものです。

・ AIが飲み込む短歌もどきから短歌もどきのルールは生まれる

新しいベクトルが必要だ。みんなで渡る横断歩道にも車は突っ込んでくる。

2020年6月29日
短歌 ミルク
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コメント

プロフィール

HN:
ミルク
性別:
非公開
趣味:
頭の体操
自己紹介:
気づく人だけが手に入れられる
輝きを求めて、日々の宝探しを
楽しむように短歌のリズムで進む
足あとのようなものです。

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