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短歌のリズムで

言の葉が群れをなすかな鰯雲 暮れゆく空で歌になるらむ

歌人だなんてとても言えない

生業ではない漁を行って生きている人もいらっしゃると思いますが、そんな人のことを「漁師さん」とは呼ばないでしょう。
やはり生業として漁を行い、市場などに魚を卸し、組合や団体に所属して某かの協調や協業を保ちながら日々を送られている人を「漁師さん」と呼ぶものです。

業界人だけではとても商業ベースにのらないので裾野を拡げたいのは解りますが、何でもかんでも歌人と呼ぶことを止めなければ、短歌に将来はありません。流行のように自らを歌人と名乗ることなど、滑稽を通り越して哀れみすら感じます。自分を知ってほしいという病は、必ず自分が生み出したものよりも前に出て、醜い自己顕示欲を晒しはじめます。
自ら名乗ればそう見なされるのならば、誰でも師範や名人になることは容易です。短歌にだけそれが許されていると見なされていることそのものが、甘く緩んだ歌壇を象徴しているのだと思います。

「茶人」の持つハードルと比べて、「歌人」のそれは無いに等しいのかもしれません。

古の時代であればどうだったのでしょうか。
真似事のような三十一音を並べて「わらわは歌人じゃ」と言えたのでしょうか。
そんな訳がありませんし、ともすれば殺されてしまうかもしれません。
美しい歌、素晴らしい歌がもたらされたからこその「歌人」の称号ではないのでしょうか。
更に言えば多くの有名な歌人達においても、「歌」は覚えられずに「名前」だけがただ知れている現実に愕然とするはずです。
何十年何百年と深く心に刻まれる歌こそが、移ろう時代へ向けての歌人の唯一の置き土産だと思いますが、それすらも簡単に叶わない程、一首を届けることは難しいのです。
形骸化したものは、いずれ嵐が来れば吹き飛んでしまうでしょう。
流行語も歌合戦も、もう誰も気にも留めない時代がそこまで来ていると言うのに。

グレイト!と武将は吠えぬ凄さなら言葉の前に伝わっている

誰でもが光を発するとは限らない。それでも月のように太陽と並び立つことはできる。
ことさらに発せずとも、光は見せるべきものを知っている。

2020年11月7日
短歌 ミルク
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プロフィール

HN:
ミルク
性別:
非公開
趣味:
頭の体操
自己紹介:
気づく人だけが手に入れられる
輝きを求めて、日々の宝探しを
楽しむように短歌のリズムで進む
足あとのようなものです。

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