相当早い梅雨入りに、益々自粛を余儀なくされそうな五月も終わりに近付いてきました。
私ではなくても、すべての皆さんが短歌を作られる時にはそれなりに作って直してというプロセスを繰り返していらっしゃると思います。
少し前に美しい鮎の遡上のニュースを見ました。
この事を題材にドリルとは違った方法で作って読んで考えてみたいと思います。
今回はじっくりと言うよりも瞬発力の訓練としてどの程度作れるか、10首程度を目標に取り組みます。
※制限時間1時間程度で、ほぼ思いついた順序の時系列に書いております。思考があさっての方向に寄り道することや、出来損ないの中途半端なものもありますが、それも含めて私らしさということでお許し下さい。
それではスタート!
1首目 まずは素直に感じたことを詠む。
・身の丈を遙かに超えて遡上する抗いながら命は光る
2首目 数回読んでみて、結句を変えてみる。
・身の丈を遙かに超えて遡上する抗いながら命を弾く
3首目 少し臨場感というかライブ感が欲しいと思い変えてみる。
・身の丈を越えて命はほとばしる遡上の鮎によぎる青春
4首目 なぜ鮎は一生懸命に遡上するのだろうと思いを巡らせる。
・遺伝子に呼ばれるままに繋ぐだけ遡上をしない選択はない
5首目 同様に後半を活かして前半部を再考してみる。
・なぞるのは命の地図で若鮎に遡上をしない選択はない
6首目 もう少し状況を凝視して、際だって印象に残ったものを詠んでみる。
・水を打つ遡上の影よ深緑の微かに宿る鮎の流線
7首目 鮎と自分との関係性や社会性に思いを馳せて詠んでみる。
・穏やかな流れに決意打ちつけて鮎は立派な大人に見える
8首目 自分はもう若くはないので、若い人と鮎の関係性に寄せてみる。
・青臭さ悪くはないさ強がって突っ張って行け遡上せよ人
9首目 遠くで鷺が狙って佇んでいる。自分が鷺ならばどう詠むだろうか。
・賭ける時命は澄んで輝いて遡上の影に風吹き渡る
10首目 シャンパンの栓が開くように、季節が最も美しい瞬間を見せたような情景に辿り着く。切り取るということを意識して詠んでみる。
・五月なら今極まれり若鮎に光と風が交差する時
どうにかこうにか、10首を並べることができました。知恵熱のように頭が熱いです。
少し時間をおいてからあらためて解説を書こうと思います
2021年5月23日
短歌 ミルク