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短歌のリズムで

言の葉が群れをなすかな鰯雲 暮れゆく空で歌になるらむ

011 記憶のかけら 2

何一つやり直す事はできないけれど、こんな気持ちだったのではと考えられる時間は穏やかで、幸せなひとときです。白黒写真に色をつけてゆくように、自分の記憶に絵の具を重ねて、雨や陽射しや匂いを思い出します。細胞は半年ですべて別のものに入れ替わってしまうけれど、残すべきものは覚えているのですね。欠けたり、飛んでいったり、なくなってしまった栞もあるけれど、季節が巡ればまた思い出すこともあると感じています。


1・寝そべって座らせないか寂しくて空けておくのか心のベンチ

2・月一の買い物遠出でバスに乗る黒い排気も母との記憶

3・幼さは何時までも在り思い出す母の景色に紛れる我を


4・スイッチを押したり上げたり回したり発進したい男の子たち


5・校庭をぐっと引き寄せ蹴上げれば空に張り付くズックの白さ


6・青春のアイドリングは「おはよう」の息の白さよ十六の冬


7・おはようは其の手の中で温められカタコトの跳ねる笑顔の神父


8・少年は小さき命の重み知りくちばしを閉づ亡骸を抱く


9・争いが何も生まぬとチビはいい眼差し送る諭されている

10・良いことも悪かったことも過ぎ去ればすべては時の微睡みの中


11・母の背は丸く小さくなってゆく生まれる前に旅するように


12・鮮やかなスクリーントーン青春は色褪せずあり ハートカクテル


13・校門は結界だった弾かれて木曜はただ海を見ていた


14・戻れたら君の中にいる少年になりたかったな秋の放課後


15・触れたなら死ぬかもしれぬ生き物を見つけたようだ ときめいている


2019年8月28日
短歌 ミルク
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プロフィール

HN:
ミルク
性別:
非公開
趣味:
頭の体操
自己紹介:
気づく人だけが手に入れられる
輝きを求めて、日々の宝探しを
楽しむように短歌のリズムで進む
足あとのようなものです。

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