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短歌のリズムで

言の葉が群れをなすかな鰯雲 暮れゆく空で歌になるらむ

未だ解っていない解ろうとしない歌人達

ネットサーフィンをしていると、時々びっくりするような内容に出会うことがあります。
先日もこのような書き込みを見つけました。

このままいけば文語旧仮名の短歌が絶滅する・・・とか、
文語旧仮名をマスターしてから口語短歌を読まなければ・・・とか、
文語旧仮名はマニュアル車で口語はオートマ車・・・とか、

全体的に口語短歌と口語短歌を読む人達への嘆きが、あたかも見下すかのような書き方で綴られていました。私にとっては天敵とも言える結社や歌人ということになります。
短縮形の多い形態の優位さや幅広い意味の寛容さや旧仮名の趣などを作歌の柱とするならば、確かにそれらは優れているといえるのかもしれませんが、実際にはそれらは必要のないものとして淘汰されようとしている現実が目の前にあるので結構な危機感を感じての投稿だったのかもしれません。

が、全体的に見えてきてしまうのは、

・自分達はきちんと文語旧仮名で短歌を学んだのでその魅力や優れた面を知っている。
・文語旧仮名を勉強せずに口語で短歌を作り始めてしまうのは順序が違う。
・口語短歌を読む人ばかりだと文語短歌がいずれ消滅してしまう。
・文語旧仮名の短歌の方が遙かに技術が必要で、口語短歌は誰でも作れてしまう。

といったように、短歌の世界では自分達が上級者で、君たちが読んでいる口語短歌などとは比べものにならないよ・・・というような愚かな妄想ばかりなのです。

生き残るべきものは生き残って、途絶えるべきものは途絶える。

それはどのような事においても必然です。百人一首も古今和歌集も、結局試験の為の授業で使われ、点数の為に憶えているに過ぎません。深く勉強すれば・・・というのも勝手な話で、元の歌がぺらっぺらの薄い内容なのにそんな歌に魅力など感じるはずもないでしょう。支持されて残っているのではなくて、奉ったから仕方なく残さざるを得ないのでしょう。和歌は和歌というジャンルと割り切って考え直さなければ、益々残しておく意味を見失ってしまうことも必然なのです。
文語の中にも現代の日常に生息していることばが幾つもあります。優れていて有用だと思われているから生き残っているのです。その理屈からすれば旧仮名は次第に消えてゆくのでしょう。優れていること、有用なことが一つもないのですから。

時代背景、文字や言葉を知っている人の数、世の中の情勢、圧倒的に歌を詠む人が少なかったおかげで、歌人と和歌や短歌は生き延びることができだのだと思います。文語旧仮名で作られた歌は、そういった過ぎた時代や年月の重みが勝手に付随しているかのように振る舞うので勘違いするのでしょう。
もはや紀貫之にも与謝野晶子にも共感できないのは当然です。不自由さが解消されてしまって、「誰でも」同じ想いをすることが出来るようになったからだと思います。
そんな豊かさを享受している時代に、「短歌」をねじ込んできた俵万智さんはやはり本物の歌人と呼べる人なのでしょう。

古語や文語、旧仮名はもうこれ以上言葉も文字も新たに生み出されないという前提で使われています。だから解釈を拡大するしかないのだと思います。言葉や文字を蹂躙していたのは一体誰(何)なのでしょうか。このことを今一度問いたださなければなりません。

皆が自由に言葉や文字を使えるようになったことが、口語短歌が増えた根本的な要因です。
そして残すべき物と途絶えるべきものの選別は日々行なわれているのです。

文語旧仮名がそれほど素晴らしいのならば、あらゆる口語短歌を凌駕するほどの凄い一首を作って世に出せばいいだけです。インフルエンサーでも何でも使って宣伝すれば良いではないですか。そんな覚悟も意気込みも、既存の結社や歌人からは微塵も感じられませんが・・・・。

2021年5月31日
短歌 ミルク
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HN:
ミルク
性別:
非公開
趣味:
頭の体操
自己紹介:
気づく人だけが手に入れられる
輝きを求めて、日々の宝探しを
楽しむように短歌のリズムで進む
足あとのようなものです。

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