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短歌のリズムで

言の葉が群れをなすかな鰯雲 暮れゆく空で歌になるらむ

しかめっ面のゴリラ

イケメンゴリラが一時期話題になったことがありますが、総じてはゴリラは皆何かを考えているかのようにしかめた顔をしている印象があります。

種を残す野生の本能で一部の種には子殺しの例も見られますが、多くはとても仲間思いで、協力的な集団生活を営む賢い動物です。類人猿の中では唯一、共食いをしないことでも知られています。
私たちが特別な親近感を抱くのは、遺伝子的にも最も人に近いということの現れなのかもしれません。
尻尾を捨て、グーの手で補助しながら歩くナックルウォークも、とても意味のあることのように思えます。物事の理(ことわり)とか、因果関係をどの程度理解しているのか解りませんが、少なくとも考えて行動しているように見えてしまうのです。

人間でもそうですが、深く考える時には眉間に皺を寄せて頭をひねります。
彼らはおそらく、人よりもずっとずっと長い時間考えているのかもしれません。
進化がどの段階で壁を破るのか解りませんが、細いその糸を切らないように丁寧に手繰り寄せているように感じずにはいられません。
もう人のそれと同じ形になった指や、物語を紡げるほどの瞳の奥深さは、紛れもなく古代の私たちが辿ってきた道程そのものなのでしょう。

彼らに比べて、私たち人間は進化どころか退化の一途を辿っています。
ある所までは、退化も強調の為の必然であったのかもしれません。
しかしそれ以上に、必要だと思われる能力まで萎んでいってしまっているのが現状です。
それを助長するように薬や科学が介入し、生きながらえる為だけに人ならぬ生き物へと突き進んでいます。
見えていたもの、聞こえていたもの、感じていたもの、触れ合っていたものを遠くへ追いやり、ただ自分の寿命と欲望を長く保つ為だけに多くのエネルギーを費やしています。

私は第六感「シックスセンス」と呼ばれる潜在能力の解放を、身近な人の経験や偉人の経験から目の当たりにしたり、聞かされたりしたことがあります。人は命の危機に陥った時、希にその能力を発動するようです。しかしながら、深く考えるということを手放しつつある現代人には、その姿が「超人の姿」ではなく「変人の姿」に見えてしまうのが現実です。
進化の番人はそれを感じ恐れて人の「第六感」を封印してしまったのかもしれません。

それにも関わらず「自死」を選択する人間は後を絶ちません。

きっとゴリラは人間達の生き様を見て考えているに違いありません。
(正しい進化とは何なのだろう)

考えて考えて、考え続けておでこに皺ができたとしても、彼らはそれすらもチャームポイントと感じているかもしれません。本質から微塵もズレていないからです。
そのような真剣な生き方を、人は取り戻さなければなりません。

自分だけ、自分の家族だけ、自分の一族だけ、自分の都道府県だけ、自分の国だけが良ければそれで良いはずがありません。

来年の干支である牛は、ほとんど体の全てが再利用されるいわば「完全生物」と言えますが、人間の体の材料などは、原価1万円にも満たないものです。

存在する価値をコンピュータが判断し始めたら、一体どのような答えを出すのでしょうか。

多様な思考という、人に託された大きな責任を果たすために、私たちはもっと眉間に皺を寄せて深く考える必要があると思っています。

俳句や短歌という思わぬ副産物を手に入れられたことを、幸せだと思わねばなりません。
遠い未来に、もしもゴリラが言葉を手にすることができたなら、人はその感性に立ち向かえるのでしょうか。それとも蹂躙されて征服されてしまうのでしょうか。

2020年12月29日
短歌 ミルク
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HN:
ミルク
性別:
非公開
趣味:
頭の体操
自己紹介:
気づく人だけが手に入れられる
輝きを求めて、日々の宝探しを
楽しむように短歌のリズムで進む
足あとのようなものです。

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