ブログを始めても、多分ほとんど読まれないだろうと半ば安心していたのですが、定期的に覗いて下さる方がいらっしゃるようで、ズボラになりたくてもなかなかなれません。
いつか「うたよみん」の中で「投稿歌を削除する前提であえて投稿するのはいかがなものか」と問いただされたことがありましたが、気持ちは当時と変わらずあまり多くの歌を「うたよみん」に置いておくことは望みません。現在のサイトは通り過ぎる短歌、つぶやきのように読み捨てられる短歌に舵をきっており、上澄みにしか興味はない様子です。底に貯まった泥をかき混ぜて、歌を拾い上げてその輝きを楽しむ余裕や、その仕組みというものがありません。以前にも書いたことがありますが、「うたよみん」そのものも衰退に向かって加速していると感じています。このままではいつサービスが終わるとも限りません。バックアップという訳ではありませんが、削除してしまった歌は基本的にブログサイトの方に移して、余計なバイアスなしにストレートに読んで頂けるようにしたいと思っております。
・青空が傾き抜けた錆の窓「安全第 」と剥がされた痕
・挟まれる立場わきまえひたすらに軍手はグーとパー繰り返す
・錆止めの刷毛はペンキに捕らえられ妖しい月に頼み込むだけ
・画板には黒々としてたわませる蘇鉄を描く写生大会
・跳び箱を運べばはしゃぎお祭りの神輿に変わる 神は災難
・いつまでも弔っていた世話係 君はニルスになりたいという
・とりどりの形が並ぶ蠅帳(はえちょう)のくすんだ青が隠すいろどり
・裏技を言わぬも楽しクルクルと君とラップの追いかけっこは
・兄弟は結構揉めるプリンにはお札のように張られた「喰うな!」
・耳でさえ異物は凄い音がして好きか嫌いで音色は変わる
・安全と危険を分かつネットとは吾の中に有りラリーは続く
・二万年生きる苦悩は果てしなく光の巨人(ウルトラマン)は幸せなのか
・チョコを噛むリズムがどうかしていたよ我慢はくれる甘い時間を
・誰しもに1G(重力)がかかるこの星に産まれた命はこの星のもの
・悪口は鈍く心にこびりつき感謝は溶けて透明になる
・クマの子は私を何と呼ぶだろう「人」を噛みしめ生きねばならぬ
・けん・けん・ぱ・トランポリンを跳ぶように花壇をめぐる蜜の集配
・散って咲く 花は一途にモノクロの街を嫌って彩りを置く
・貯まらない時は気付かず増えすぎて明らかになるゴミか資源か
・君という文字が絡めば行動の全てに上がるハードルがある
・土砂降りの中でも君を見つければ視界は晴れるそれが青春
・偶然を装うための妄想で破裂しそうな脳内劇場
・制服は湿度を帯びて温かくそれが罪なら石にでもなる
・舞いあがれ空に溶け出せひとすじに初夏へと続く蒲公英のみち
2020年6月30日
短歌 ミルク